乳がん細胞にはさまざまな種類があり、その種類を見分ける一つの手段として、サブタイプという分類*があります。
サブタイプを見分けることは、適切な治療法を選択するための第一歩となります。
目印となるのは、それぞれの乳がん細胞が持つ特殊なタンパク質です。これには主に、「ホルモン受容体」と「HER2(ハーツー)」という2つがあります。
ホルモン受容体にはエストロゲン受容体とプロゲステロン受容体の2種類※1があります。
こうしたタイプ分けがなぜ必要かというと、乳がん細胞のタイプによって治療法が異なるからです。タイプ分けに加えて、年齢、がんの大きさ、リンパ節転移※2の有無、がんの「悪性度」(おとなしいか、増殖しやすいか)なども重要です。
これらの情報に基づいて、個々の患者さんにもっとも適した治療法を選択していきます。
✲本来、サブタイプ分類は乳がん組織の多数の遺伝子発現検査の結果によってわかるものです。
しかし便宜的に、ホルモン受容体、HER2、Ki67、グレードなどの結果に基づいてサブタイプ分類を模した名称で呼ばれることがあります。
※1 エストロゲン受容体(ER)とプロゲステロン受容体(PR)
エストロゲンやプロゲステロンは女性ホルモンの一つで、乳がんにはこれらのホルモンによって増殖するものがあります。
参考情報:国立がん研究センター がん情報サービス 乳がん 治療
※2 リンパ節転移
がん細胞がリンパ液の流れにのって移動し、リンパ管の中継点であるリンパ節でがん細胞が増殖することです。
参考情報:国立がん研究センター がん情報サービス 乳がん 乳がんについて
乳がん細胞のさまざまなタイプ
乳がん細胞は、ホルモン受容体の帽子をかぶった細胞、HER2の帽子をかぶった細胞、ホルモン受容体とHER2の帽子をかぶった細胞、どちらの帽子もかぶっていない細胞に分けられ、さらに顔つきのいい細胞か、そうでないか(悪性度)が診断されます。